税理士の選び方は、料金や所在地などの条件を並べて比べる前に、自社が税理士にどんな役割を求めるのかを決めることから始めます。求める役割が決まれば、確かめるべきことが絞られ、面談で何を聞けばよいかも分かります。
この記事では、公認会計士・税理士の奈須大貴が、会社が税理士の候補を絞り込む4つの順番と、面談でそのまま使える質問、答えの見方を解説します。
先に決めるのは「税理士に求める役割」
税理士の選び方の解説では、得意分野、料金、相性、対応の早さなど、多くの基準が挙げられます。どれも大切ですが、自社が何を求めているかが決まっていないと、どの基準を重く見ればよいかが決まりません。
会社が税理士に求める役割は、大きく次の3つに分けられます。
| 求める役割 | こんな会社に多い | 選ぶときに重く見ること |
|---|---|---|
| 決算と申告を正しく行う | 取引が少なく、毎月の数字は自社で確認できている | 決算と申告の進め方、資料の渡し方、期限の管理 |
| 毎月の数字を判断に使えるようにする | 試算表が遅い、決算まで利益や納税額が分からない | 試算表が届く時期、数字を一緒に確認する頻度、納税額の見通しを出す時期 |
| 経営やお金の相談相手になる | 資金繰り、融資、採用、設備投資などの判断が続いている | 誰が相談に乗るか、資金繰り表や計画づくりを支援できるか |
役割は1つに絞る必要はありません。ただ、「どれがいちばん大事か」を決めておくと、候補を比べるときに迷いにくくなります。
候補を絞る4つの順番
役割が決まったら、次の順番で候補を絞っていきます。
| 順番 | やること | ここで分かること |
|---|---|---|
| 1 | 今困っていることと、求める役割を書き出す | 何を基準に選ぶか |
| 2 | 候補を集める | 比べる相手 |
| 3 | サイトや資料で、事実を確かめる | 面談に進む候補 |
| 4 | 面談で質問し、答え方を比べる | 依頼する1社 |
1.今困っていることと、求める役割を書き出す
最初に、今困っていることを短く書き出します。「試算表が届くのが2か月後」「決算の直前に納税額を知って慌てた」「融資の相談をしたいが、誰に聞けばよいか分からない」など、具体的なほど、面談で伝えやすくなります。
税理士を変える場合は、今の税理士に不満を感じている点も書いておきます。同じ悩みを次の税理士のもとで繰り返さないためです。
2.候補を集める
候補の集め方には、知人の経営者や取引先からの紹介、金融機関からの紹介、インターネットでの検索、紹介サービスの利用などがあります。紹介は実際の対応を聞けるのが利点ですが、紹介してくれた会社と自社では、求める役割が違うこともあります。
どの方法で集めた場合でも、次の手順で同じように確かめると、比べやすくなります。
3.サイトや資料で、事実を確かめる
面談の前に、事務所のサイトや資料で確かめられることは確かめておきます。
| 確かめること | 確かめ方 |
|---|---|
| 税理士として登録しているか | 日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで調べる |
| 誰が対応するか | 税理士本人が対応するのか、担当の職員が対応するのかがサイトに書かれているか |
| 求める役割の支援があるか | サービスの説明に、月次決算、納税額の見通し、資金繰りや融資の支援などが書かれているか |
| 対応地域と面談の方法 | 来所、訪問、オンラインのどれで面談できるか |
| 問い合わせの方法 | フォーム、電話など、最初の連絡の方法と返信の目安 |
公認会計士の事務所に税務も頼みたい場合の確かめ方は、福岡で公認会計士に相談するには?中小企業が頼めることと依頼先の確かめ方で紹介しています。
ここで、求める役割に合う支援が見当たらない候補は外します。面談に進む候補は、2〜3件程度にしておくと、比べる時間を十分にとれます。
4.面談で質問し、答え方を比べる
最後の決め手は面談です。面談では、サービスの説明を聞くだけでなく、自社の状況に当てはめた質問をして、その答え方を比べます。
面談でそのまま使える質問と、答えの見方
次の質問は、どの役割を求める場合でも使えます。大切なのは答えの正しさよりも、自社の状況に当てはめて、具体的に答えてくれるかどうかです。
| 質問 | 答えで見ること |
|---|---|
| うちの規模だと、毎月の試算表はいつ頃届きますか | 「翌月の何日頃」のように時期を示し、そのために自社が資料をいつまでに渡せばよいかまで説明があるか |
| 決算のどれくらい前に、利益と納税額の見通しが分かりますか | 見通しを出す時期と、そのために毎月何をするかの説明があるか |
| 相談したいとき、誰に、どの方法で連絡すればよいですか | 連絡先、方法、返事が来るまでの目安が具体的か |
| 実際の担当は、どなたになりますか | 面談している人と担当が違う場合、担当者と税理士の役割分担の説明があるか |
| 持ってきた試算表(決算書)を見て、気になる点はありますか | 自社の数字を見て、質問や確かめたい点を具体的に挙げてくれるか |
| 融資や設備投資を考えるときは、何をしてもらえますか | 資料づくりや資金繰りの確認など、支援の範囲が分かるか |
| 契約に含まれないことは何ですか | 決算と申告、年末の手続き、税務調査の立ち会いなど、範囲外の仕事と扱いが説明されるか |
| どんな会社とは合わないと思いますか | 合わない依頼を率直に伝えてくれるか |
5つ目の質問は、直近の試算表や決算書を面談に持参できる場合に使えます。資料をもとにした質問が返ってくれば、契約した後にどんなやり取りになるかを具体的に想像できます。
最後の質問は、聞きにくく感じるかもしれません。しかし、合わない依頼をはっきり伝えてくれる事務所のほうが、契約した後に「思っていた支援と違う」となりにくいものです。
候補を比べる記入表
面談が終わったら、その日のうちに答えを書き込んでおきます。次の表をそのまま使ってください。
| 比べること | 候補A | 候補B | 候補C |
|---|---|---|---|
| 求める役割に合う支援があるか | |||
| 試算表が届く時期 | |||
| 納税額の見通しが分かる時期 | |||
| 対応する人 | |||
| 連絡の方法と返事の目安 | |||
| 自社の数字への質問や指摘 | |||
| 契約の範囲と範囲外の仕事 | |||
| 顧問料と、決算・申告の報酬 |
料金の欄は最後に置いています。料金は大切な比較の材料ですが、含まれる仕事の範囲が候補ごとに違うため、上の欄を埋めてから比べないと、安いのか高いのかを正しく判断できないからです。
顧問契約に含まれる業務の範囲を契約の前にどう確かめるかは、顧問税理士とは?スポットの依頼との違いと、1年の中で行われることの確認表も参考にしてください。そもそも顧問契約が必要かどうかから考えたい場合は、顧問税理士はいらない?必要かどうかを分ける6つの問いと3つの選択肢で、必要かどうかを分ける問いと、顧問契約以外の選択肢を紹介しています。
税理士を変える場合に気をつけること
今の税理士から変える場合は、新しい候補を選ぶことと、今の契約を終える手続きを分けて考えます。先に新しい候補との面談を進め、依頼先が決まってから、今の税理士に契約の終了を伝えると、決算や申告の期限をまたいで空白ができることを防げます。
変更の時期、今の税理士への伝え方、引き継ぐ資料は、税理士の変更を考えたら|タイミング・断り方・引継ぎを福岡市の税理士が解説で詳しく解説しています。税理士からの連絡や提案が少ないと感じている場合は、税理士から連絡が来るのは決算前だけ?提案や情報提供が少ないと感じたらも参考にしてください。
当事務所の場合
奈須大貴公認会計士・税理士事務所では、公認会計士・税理士の奈須大貴が直接対応します。上の表でいえば、「毎月の数字を判断に使えるようにする」と「経営やお金の相談相手になる」の2つの役割を中心に支援しています。
顧問契約では月次決算を行い、毎月の試算表をもとに経営者と一緒に数字を確認します。年間の利益と納税額は第2四半期頃から見通しを立て、第3四半期で精度を高めて決算に備えます。資金繰りや融資の相談にも、数字の面から対応しています。
一方で、「決算と申告だけを、できるだけ安く依頼したい」という場合には、当事務所は合わない可能性があります。面談では、この記事で紹介した質問をそのままお聞きいただいてかまいません。支援の内容は、税務顧問サービスのページでご案内しています。
税理士を探している方、変更を考えている方へ
税理士の選び方は、求める役割を決め、事実を確かめ、面談で自社の状況に当てはめた質問をする、という順番で進めると迷いにくくなります。まずは、今困っていることを3つ書き出すところから始めてみてください。
「毎月の数字を経営の判断に使いたい」「経営やお金の相談もできる税理士を探している」という方は、今困っていることをそのままお聞かせください。お問い合わせには原則1営業日以内に返信します。今の税理士に伝える前の段階でも相談でき、相談しただけで今の顧問契約を終える必要はありません。福岡市南区大橋を拠点に、福岡市と春日市・大野城市・那珂川市・太宰府市・筑紫野市などの近郊に対応しており、オンラインでの面談も可能です。

