顧問税理士とは、税理士と継続して契約を結び、決算や申告だけでなく、1年を通じて会社の数字と税金の相談に応じてもらう税理士のことです。決算や申告のときだけ単発で依頼する形(スポットの依頼)との違いは、税理士が会社の数字を見る回数とタイミングにあります。
この記事では、顧問契約を結ぶと1年の中で実際に何が行われるのかを時期ごとに整理し、契約の前に確認しておきたい業務範囲の確認表を紹介します。
顧問税理士とスポットの依頼の違い
税理士への依頼の仕方は、大きく分けて顧問契約とスポットの依頼の2つです。
| 項目 | 顧問契約 | スポットの依頼 |
|---|---|---|
| 契約の期間 | 継続(毎月または年単位) | 決算や申告など、その仕事ごと |
| 税理士が数字を見るタイミング | 毎月、または定期的に | 決算や申告の作業をするとき |
| 期中の相談 | 契約の範囲内で随時できる | 原則として依頼した仕事の範囲のみ |
| 利益と納税額が分かる時期 | 期中から見通しを立てられる | 決算の作業が始まってから |
| 向いている会社 | 数字を毎月の判断に使いたい会社 | 取引が少なく、期中の相談がほとんどない会社 |
一般的な解説では、顧問税理士の仕事として「税務相談」「申告書の作成」「節税の提案」「税務調査への対応」が挙げられます。どれも間違いではありませんが、これだけでは、契約するとふだん何が起きるのかが見えにくいかもしれません。そこで次の章では、1年の流れに沿って整理します。
顧問契約で1年の中に何が行われるか
事業年度の途中から決算の後までを、4つの時期に分けて見てみます。ここでは、毎月の数字を確認する形の顧問契約を例にしています。
| 時期 | 主に行われること | 経営者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 毎月 | 記帳の確認、試算表の作成、数字についての面談や連絡 | 売上、利益、現預金の状態を、翌月のうちにつかめる |
| 期の半ばまで | その年の利益と納税額の見通しを立てる | 決算の前に、使えるお金と納税に備えるお金を分けて考えられる |
| 決算の数か月前 | 見通しの精度を上げ、決算までに打てる手を検討する | 決算の直前に慌てずに、設備投資や役員報酬などを判断できる |
| 決算と申告 | 決算書と申告書の作成、納税額の確定、翌期の計画の確認 | 1年の成績を確かめ、翌期の目標づくりにつなげられる |
このほかにも、年末の手続き(年末調整など)や、融資を受けるときの資料づくり、税務署からの問い合わせへの対応など、時期に関係なく相談できることがあります。
スポットの依頼との違いが大きく出るのは、表の上の3段です。スポットの依頼では、税理士が会社の数字を見るのは最後の「決算と申告」の時期だけになります。利益が想定より多かった、資金繰りが苦しくなっていた、といったことに気づくのが決算の時期になると、打てる手は限られます。
顧問契約の中身は、事務所によって大きく違う
同じ「顧問契約」でも、含まれている業務は税理士事務所によって異なります。毎月面談がある契約もあれば、決算の時期まで連絡がほとんどない契約もあります。
「顧問税理士がいるのに、何をしてもらっているのか分からない」という不満の多くは、契約の前に業務範囲を確かめていなかったことから生まれます。契約の前、または今の契約を見直すときには、次の点を確認しておくと安心です。
契約の前に確認したい業務範囲の確認表
| 確認すること | 確認のしかた |
|---|---|
| 記帳はどちらが行うか | 自社で入力するのか、税理士事務所に任せるのか、資料の渡し方も含めて確認する |
| 試算表はいつ届くか | 毎月作るのか、届くのは翌月の何日頃かを確認する |
| 面談や報告の頻度 | 毎月、四半期ごと、決算前だけなど、どの頻度で数字を一緒に確認するかを確認する |
| 納税額の見通しを出す時期 | 決算のどれくらい前に、利益と納税額の見通しを教えてもらえるかを確認する |
| 期中の相談の方法 | メール、チャット、電話、面談のどれで、どのくらいの早さで返事がもらえるかを確認する |
| 誰が担当するか | 税理士本人が対応するのか、担当の職員が対応するのかを確認する |
| 決算と申告の扱い | 顧問料に含まれるのか、別の報酬になるのかを確認する |
| 範囲外の仕事 | 融資の資料づくり、年末の手続き、税務調査の立ち会いなどが、契約の範囲に入るかを確認する |
この表を使って、候補の事務所ごとに答えを書き込んでみると、顧問料の金額だけでは見えない違いが分かります。
顧問税理士が必要かどうかの考え方
顧問税理士は、すべての会社に必要というわけではありません。取引が少なく、記帳と毎月の数字の確認を自社で回せている会社なら、スポットの依頼で足りることもあります。
自社に顧問税理士が必要かどうかを確かめる方法は、顧問税理士はいらない?必要かどうかを分ける6つの問いと3つの選択肢で詳しく解説しています。
当事務所の場合
奈須大貴公認会計士・税理士事務所では、公認会計士・税理士の奈須大貴が直接対応します。顧問契約では、月次決算を通じて毎月の試算表を作り、売上や利益が計画どおりか、現預金や資金繰りに問題がないかを、経営者と一緒に確認します。
年間の利益と納税額は、第2四半期頃から見通しを立て、第3四半期で精度を高めながら決算に備えます。上の表でいえば、「毎月」から「決算の数か月前」までの3段を、経営者と一緒に回していくことが、当事務所の顧問契約の中心です。
一方で、「決算と申告だけを、できるだけ安く依頼したい」という場合には、当事務所は合わない可能性があります。顧問契約での支援内容は、税務顧問サービスのページでご案内しています。
よくあるご質問
顧問税理士と税理士は、何が違うのですか?
資格としては同じ税理士です。継続して顧問契約を結んでいる税理士を、その会社にとっての「顧問税理士」と呼びます。
今の顧問税理士の対応に不満がある場合は、どうすればよいですか?
まずは、確認表の項目のうち、何が足りていないのかを書き出し、今の税理士に伝えてみてください。それでも変わらない場合は、税理士の変更を考える段階です。進め方は、税理士変更のページで解説しています。
顧問税理士を探している方、見直したい方へ
顧問税理士の価値は、決算と申告の時期だけでなく、1年を通じて数字を一緒に確かめられることにあります。契約の前には、確認表を使って、どの時期に何をしてもらえるのかを確かめてみてください。
「顧問税理士を初めて探している」「今の顧問契約で、毎月の数字が見えていない」という方は、現在の状況をお聞かせください。今の税理士に伝える前の段階でも相談でき、相談しただけで今の顧問契約を終える必要はありません。福岡市南区大橋を拠点に、福岡市全域に対応しており、オンラインでのご相談も可能です。

