個人事業主の確定申告に必要な書類は、大きく分けて「売上と経費が分かる資料」「青色申告決算書または収支内訳書」「所得控除を受けるための証明書」「マイナンバーと本人確認の書類」の4つです。確定申告の期間は、例年2月16日から3月15日までのため、年が明ける前から少しずつ集めておくと慌てずに済みます。
この記事では、公認会計士・税理士の奈須大貴が、個人事業主の確定申告に必要な書類をチェックリストの形で一覧にし、申告が必要かどうかの確かめ方と、書類を集め始める時期を解説します。
確定申告が必要かどうかを確かめる
個人事業主は、1年間の所得(収入から必要経費を引いた金額)が一定の額を超えると、確定申告をする必要があります。事業の収入のほかに、次のような収入があった場合も、申告が必要になったり、申告によって税金が戻ったりすることがあります。
- 各種補助金、助成金、給付金、協力金を受け取った
- 地代・家賃の収入があった
- 配当金・分配金を受け取った
- 2か所以上から給与・報酬を受け取った
- 公的年金を受け取った
- 講演料や原稿料を受け取った
- 生命保険や火災保険などの満期金・解約返戻金を受け取った
- ゴルフ会員権や不動産を売却した
- 株式や暗号資産を売却した
どれかに当てはまる場合は、その収入の資料も、あわせて準備します。
個人事業主の確定申告に必要な書類のチェックリスト
1.売上と経費が分かる資料
| 書類 | 主なもの |
|---|---|
| 帳簿 | 会計ソフトのデータ、現金出納帳、売上帳、経費帳など |
| 売上の資料 | 請求書の控え、売上の記録、取引先から届いた支払調書など |
| 経費の資料 | 領収書、請求書、クレジットカードの利用明細、預金通帳 |
| 在庫の資料 | 12月31日時点の棚卸表 |
| 固定資産の資料 | 年の途中で買った車や設備の契約書・請求書、減価償却の明細 |
青色申告で家族に給与を払っている場合は、青色事業専従者給与に関する届出書の控えも手元に置いておきます。
2.青色申告決算書または収支内訳書
帳簿をもとに作る、1年間の事業の成績をまとめた書類です。青色申告の方は青色申告決算書、白色申告の方は収支内訳書を作り、確定申告書と一緒に提出します。不動産の賃貸収入がある方は、不動産所得用の決算書も作ります。
3.事業以外の収入の資料
| 収入 | 必要な書類 |
|---|---|
| 給与 | 給与の源泉徴収票 |
| 公的年金 | 公的年金等の源泉徴収票 |
| 上場株式の売却・配当 | 特定口座年間取引報告書、配当金の支払通知書 |
| 非上場株式の売却 | 売買契約書、取得したときの価額が分かる書類 |
| 不動産の売却 | 売買契約書、登記事項証明書、取得したときの価額や売却の費用が分かる書類 |
| 保険金の受取 | 保険会社から届いた支払いの明細 |
4.所得控除を受けるための書類
| 控除 | 必要な書類 |
|---|---|
| 社会保険料控除 | 国民年金の社会保険料(国民年金保険料)控除証明書、国民健康保険料の納付額が分かる書類 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済掛金払込証明書、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金払込証明書 |
| 生命保険料控除 | 生命保険料控除証明書(一般・介護医療・個人年金) |
| 地震保険料控除 | 地震保険料控除証明書 |
| 医療費控除 | 医療費の明細書(医療費通知を使えます)、保険金などで補てんされる金額が分かる書類 |
| 寄附金控除 | ふるさと納税などの寄附金の受領証明書 |
| 配偶者控除・扶養控除など | 家族の所得が分かる源泉徴収票など |
| 雑損控除 | 損失額の明細、罹災証明書・盗難証明書、災害に関連して支払った費用の領収書 |
| 住宅ローン控除(初めての年) | 住宅ローンの年末残高証明書、売買契約書や請負契約書の写し、登記事項証明書 |
医療費控除は、支払った医療費が原則10万円(総所得金額等が200万円未満の方は、その5%)を超えた場合に使えます。特定の市販薬の購入費が12,000円を超えた場合のセルフメディケーション税制は、医療費控除とどちらか一方を選びます。
5.マイナンバーと本人確認の書類
確定申告書には、マイナンバー(個人番号)を書きます。税務署の窓口や郵送で提出する場合は、マイナンバーカードの写し(ない場合は、マイナンバーが分かる書類と運転免許証などの身分証明書の写し)が必要です。
書類を集め始める時期の目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 秋から年末 | 生命保険料や国民年金保険料の控除証明書が届いたら、1か所にまとめて保管する |
| 12月31日 | 在庫を数えて棚卸表を作る |
| 1月 | 給与や年金の源泉徴収票、取引先からの支払調書を受け取る。帳簿の入力を12月分まで終わらせる |
| 2月前半 | 帳簿を締めて、青色申告決算書(または収支内訳書)を作る |
| 2月16日〜3月15日 | 確定申告書を作り、提出して、納税する |
領収書や明細を年明けにまとめて整理しようとすると、それだけで何日もかかります。毎月の帳簿の入力を続けておけば、年明けに必要なのは、源泉徴収票や控除証明書をそろえることと、帳簿を締めることだけになります。
控除の額は、年によって変わる
所得税の基礎控除などの額は、ここ数年続けて見直されています。令和7年分からは、合計所得金額が2,350万円以下の方の基礎控除の額が、所得に応じて上乗せされる仕組みになりました。令和8年分からは、基礎控除の本則が58万円から62万円に引き上げられるなどの改正が行われています(財務省「令和8年度税制改正」の解説より)。
申告する年の控除額や手続きは、国税庁の確定申告特集で確かめてください。家族の所得によって配偶者控除や扶養控除の対象になる範囲も変わるため、家族の所得も早めに把握しておきます。
税理士に依頼する場合は、いつまでに何を渡すか
確定申告を税理士に依頼する場合も、そろえる書類は同じです。依頼する時期と、渡す資料の順番は、確定申告を税理士に依頼するなら、いつまでに何を渡す?個人事業主のための段取りと資料の一覧で解説しています。
当事務所の場合
奈須大貴公認会計士・税理士事務所では、公認会計士・税理士の奈須大貴が直接対応します。個人事業主の確定申告では、必要な書類をそろえる段階から確かめ、帳簿の整理と青色申告決算書の作成、申告書の作成と提出までを行います。
確定申告だけでなく、毎月の数字を見ながら、年の途中で所得と税金の見通しを立てたいという方には、顧問契約での支援もご用意しています。支援内容は、税務顧問サービスのページでご案内しています。
確定申告の準備に不安がある方へ
確定申告に必要な書類は、売上と経費の資料、決算書、控除の証明書、本人確認の書類の4つに分けてそろえれば、漏れを防げます。年が明ける前から、届いた書類を1か所にまとめておくだけでも、申告の時期の負担は大きく減ります。
「どの書類が必要か分からない」「帳簿の整理が追いついていない」という方は、今の状況をお聞かせください。福岡市南区大橋を拠点に、福岡市全域に対応しており、オンラインでのご相談も可能です。

コメント
“個人事業主の確定申告に必要な書類一覧|事前準備のチェックリストと、集め始める時期” への1件のフィードバック
[…] 不動産や株式など、事業以外の収入がある場合や、控除の種類ごとの書類は、令和7年分所得税の確定申告 事前準備チェックリストでも確かめられます。 […]