福岡市で会社設立するときの届出先と期限|区ごとの税務署・県税事務所と、設立前後の日程

福岡市で会社を設立するときは、登記をする福岡法務局のほかに、税務署、福岡県の県税事務所、福岡市の3か所へ税金の届出を出し、社会保険の手続きも行います。届出先は本店を置く区によって変わり、たとえば中央区に本店を置くと、税務署は福岡税務署、県税事務所は西福岡県税事務所と、名前の似た別々の役所になります。期限も、福岡市は設立から10日以内、県税事務所は15日以内、税務署は2か月以内と、地元の届出ほど短くなっています。

この記事では、公認会計士・税理士の奈須大貴が、福岡市で会社を設立するときの届出先を区ごとに整理し、届出の期限、福岡市の特定創業支援等事業で登録免許税を抑える段取り、設立前後の日程の組み方を解説します。

福岡市で会社を設立するときの届出先

会社の設立にかかわる役所は、登記、国の税金、県の税金、市の税金、社会保険の5つに分かれます。このうち、税金の届出先は本店の所在地で決まり、福岡市の中でも区によって受け持つ役所が違います。

本店を置く区登記(法務局)法人税・消費税(税務署)法人県民税・法人事業税(県税事務所)法人市民税(福岡市)
中央区福岡法務局(本局)福岡税務署西福岡県税事務所財政局 法人税務課
南区福岡法務局(本局)福岡税務署博多県税事務所財政局 法人税務課
博多区福岡法務局(本局)博多税務署博多県税事務所財政局 法人税務課
東区福岡法務局(本局)地域によって博多税務署または香椎税務署東福岡県税事務所財政局 法人税務課
城南区、早良区、西区福岡法務局(本局)西福岡税務署西福岡県税事務所財政局 法人税務課

税務署の受け持ちは福岡国税局の「税務署別管轄区域の状況」、県税事務所の受け持ちは福岡県の「管轄の県税事務所」の一覧で確かめられます。

表で気をつけたいのは、税務署と県税事務所の受け持ちが一致しない区があることです。南区に本店を置く会社は、税務署は中央区の福岡税務署ですが、県税事務所は博多区の博多県税事務所になります。中央区に本店を置く会社は、県税事務所が西福岡県税事務所です。届出の書類や、決算のあとの申告書の送り先を「税務署と同じ場所」と思い込むと、宛先を取り違えることがあります。

東区は、地域によって博多税務署と香椎税務署に分かれています。自社の住所がどちらに当たるかは、国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」で住所から調べられます。

登記は、福岡市内のどの区でも福岡法務局の本局

会社の設立の登記は、福岡市内に本店を置く場合、どの区でも福岡法務局の本局(福岡市中央区舞鶴)が受け持ちます。福岡法務局の「管轄区域一覧」によると、西新出張所は証明書の交付だけを扱う窓口で、登記の申請は受け付けていません。春日市・大野城市・筑紫野市・太宰府市・那珂川市に本店を置く場合も、会社の登記は本局が受け持ちます。

会社は、登記を申請した日が設立の日になります。ほかの届出の期限は、この日から数えます。定款の作成と認証、登記の申請は司法書士の領域で、オンラインでの申請もできます。

福岡市の窓口は博多区役所の新庁舎

福岡市の法人市民税の窓口は、財政局 法人税務課 法人市民税係で、所在地は博多区役所の新庁舎9階(福岡市博多区博多駅前2丁目)です。中央区天神の市役所本庁舎ではないので、窓口に持参する場合は注意が必要です。どの区に本店を置いても、法人市民税の届出先はこの法人税務課になります(福岡市「法人市民税について」)。

設立の前後に出す届出と期限

福岡市に本店を置いて会社を設立した場合の、主な届出と期限を一覧にします。福岡市の「創業時に必要な届出」の案内と、国税庁のタックスアンサー「No.5100 新設法人の届出書類」、日本年金機構の「新規適用の手続き」をもとにしています。

出し先届出期限確かめること
福岡法務局(本局)設立の登記の申請申請した日が設立の日特定創業支援等事業の証明書を使う場合は、登記と一緒に出す
年金事務所(事務センター)健康保険・厚生年金保険の新規適用届事実が発生してから5日以内社長1人の会社でも、役員報酬を払えば対象になる
福岡市 財政局 法人税務課法人等の設立申告書設立の日から10日以内登記事項証明書の写しと定款の写しを付ける
本店の区を受け持つ県税事務所法人設立等の届出開設の日から15日以内税務署と受け持ちが違う区がある
本店の区を受け持つ税務署法人設立届出書設立の日(設立登記の日)以後2か月以内定款などの写しを付ける
本店の区を受け持つ税務署青色申告の承認申請書設立の日以後3か月を経過した日と第1期の末日のうち、いずれか早い日の前日まで第1期が短いと期限が早まる

このほか、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の申請、棚卸資産や減価償却の方法の届出などがあります。どれが必要かは事業の中身によって変わり、主な書類と期限は会社設立で税理士に頼めることは?で整理しています。従業員を雇う場合は、雇用保険はハローワーク、労災保険は労働基準監督署の手続きも加わります。社会保険と労働保険の手続きは社会保険労務士の領域です。

期限を日程にすると、次のようになります。国の税金の届出は2か月の余裕がありますが、福岡市と福岡県の届出は設立から2週間ほどで期限が来ます。

福岡市で会社を設立するときの日程(設立の日から数える)

法人設立ワンストップサービスで、まとめて出せる

紙の届出を区ごとの役所へ持参したり郵送したりする代わりに、国の「法人設立ワンストップサービス」を使うと、税務署、県税事務所、福岡市への設立の届出をオンラインでまとめて出せます。福岡県の「法人設立ワンストップサービスのご案内」では、設立登記、国税、地方税、年金、労働保険、健康保険などの手続きについて、複数の書類で共通する項目は一度の入力ですべての書類に反映されると案内されています。2021年2月からは、定款の認証と設立の登記を含めた手続きの全体が対象になっています。

使うにはマイナンバーカードなどの準備が必要です。登記を司法書士に、社会保険を社会保険労務士に依頼する場合は、誰がどの届出を出すのかを最初に決めておくと、二重に出したり、誰も出していなかったりすることを防げます。

福岡市の特定創業支援等事業で、登録免許税を半分にする

福岡市で会社を設立するときに、事前に知っておきたい制度が「特定創業支援等事業」です。国の認定を受けて福岡市が連携事業者と行う創業支援のセミナーや個別面談で、所定の支援を1か月以上にわたって受けると、受講の証明書が発行されます(福岡市「特定創業支援等事業のご案内」)。

この証明書を会社の設立の登記のときに法務局へ出すと、株式会社や合同会社の設立にかかる登録免許税が、資本金の0.7%から0.35%に下がります。株式会社の場合、最低額の15万円も7.5万円になります。

注意したいのは、証明書を会社の設立の前に取得し、登記と同時に出す必要があることです。登記が終わったあとに証明書をもらっても、登録免許税は下がりません。対象は、これから創業する個人と、創業から5年以内の個人・法人で、会社を設立する場合は、発起人である代表者本人が受講する必要があります。

仮の数字で、登録免許税の違いを比べる

株式会社を設立する場合の登録免許税を、資本金の額ごとに比べてみます。

資本金通常(資本金の0.7%、最低15万円)証明書あり(0.35%、最低7.5万円)差額
300万円15万円(0.7%は2.1万円で最低額に満たない)7.5万円(0.35%は1.05万円)7.5万円
1,000万円15万円(0.7%は7万円)7.5万円(0.35%は3.5万円)7.5万円
3,000万円21万円10.5万円10.5万円

資本金がおよそ2,100万円以下の株式会社では、通常の場合も証明書がある場合も登録免許税は最低額で決まるため、証明書の有無で7.5万円の差になります。設立の日を急ぐ理由がなければ、受講の日程に合わせて設立の日を決める価値は十分にあります。

証明書から逆算して、設立の日を決める

支援を受ける期間が1か月以上必要なうえ、証明書の発行には申請からおおむね5営業日かかると案内されています。証明書の申請は、オンラインまたは福岡市の創業課の窓口で行います。設立の日を先に決めてしまうと間に合わないことがあるため、次の順で日程を組みます。

  1. 受講できるセミナーや面談の日程を確かめ、受講を始める
  2. 1か月以上の受講を終えたら、すぐに証明書を申請する
  3. 証明書の発行の見込みが立ってから、定款の認証と登記の申請日を決める
  4. 登記の申請と同時に、証明書を法務局に出す

設立の日を月の初めにしたい、決算月との兼ね合いで特定の日に設立したい、という希望がある場合は、そこから1か月半ほど前には受講を始めておくと安心です。

設立したあとの福岡県・福岡市の税金

設立の届出を出したあとも、県と市への申告は毎年続きます。福岡県の「法人の県民税」と福岡市の「法人市民税について」によると、法人県民税と法人市民税の均等割は、利益が出ていなくても、資本金等の額と従業者数に応じてかかります。

区分(資本金等の額1,000万円以下、従業者数50人以下の場合)年額
福岡県 法人県民税の均等割(森林環境税を含む)21,000円
福岡市 法人市民税の均等割50,000円
合計71,000円

仮に、資本金300万円の会社が設立1年目に赤字で、法人税などがかからなかったとしても、事務所を12か月置いていれば、県と市の均等割として合わせて7万1,000円の負担があります(事務所を置いていた月数が12か月に満たない場合は、その月数に応じて計算します)。申告と納付の期限は、原則として事業年度が終わった日の翌日から2か月以内です。

設立したばかりの会社は、この均等割の負担や、2期目以降の中間申告を見込まずに資金繰りを組んでしまいがちです。中間申告と納付の仕組みは中間納付税額とは?で解説しています。

福岡市で会社を設立するときに起きやすい漏れ

届出先が分かれていることや、地元の届出の期限が短いことから、次のような漏れが起きやすくなります。

起きやすい漏れ起きること防ぎ方
特定創業支援等事業を、登記のあとで知った登録免許税の軽減を受けられない定款を作る前に、受講の日程から設立の日を決める
福岡市・福岡県の届出を2か月以内と思っていた10日・15日の期限を過ぎてしまう登記の申請日に、地元の届出の書類もそろえておく
県税事務所を税務署と同じ地区と思い込んだ書類を受け持ちでない役所に出してしまう本店の区で、税務署と県税事務所を別々に確かめる
市の窓口を天神の市役所本庁舎と思い込んだ窓口で出し直しになる法人税務課の所在地(博多区役所新庁舎)を確かめる
誰がどの届出を出すか決めていなかった二重の提出や、出し忘れが起きる司法書士・社会保険労務士・税理士の分担を最初に決める
赤字なら県と市の税金はかからないと思っていた均等割の納付に気づかない設立した年の資金繰りに、均等割と申告の時期を入れておく

当事務所の場合

奈須大貴公認会計士・税理士事務所では、福岡市とその近郊で会社を設立する方の相談と、設立にともなう税務署・福岡県・福岡市への届出などの手続きを支援しています。登記や社会保険の手続きなど、ほかの専門家の領域の手続きは、連携している専門家と分担して進めます。公認会計士・税理士の奈須大貴が直接対応し、特定創業支援等事業の受講の時期も含めて、設立の日から逆算した届出の日程を一緒に作ります。

設立の後は、税務顧問の中で月次決算を行い、毎月の試算表で売上や利益、資金繰りに問題がないかを確認します。年間の利益と納税額は第2四半期頃から見通しを立て、県と市の均等割や中間申告も含めて、納税に備えるお金を早めに分けておけるようにします。

会社を作るかどうか、作るならいつがよいかを迷っている段階であれば、法人成りのタイミングはいつ?もあわせてご覧ください。当事務所の拠点や対応の範囲は福岡市南区(大橋)の税理士のページで、顧問契約での支援の内容は税務顧問サービスのページでご案内しています。

よくあるご質問

南区に本店を置く場合、届出はどこに出せばよいですか?

登記は福岡法務局の本局、法人税・消費税の届出は福岡税務署、法人県民税・法人事業税の届出は博多県税事務所、法人市民税の届出は福岡市の法人税務課です。税務署と県税事務所の受け持ちの地区が違うため、宛先に注意してください。

法人設立ワンストップサービスを使えば、紙の届出は出さなくてよいですか?

ワンストップサービスで税務署、県税事務所、福岡市への設立の届出を出せば、同じ届出を紙で出し直す必要はありません。ただし、事業の中身によって追加で必要になる届出もあるため、何をオンラインで出し、何を別に出すかは、設立の前に一覧にしておくことをおすすめします。

本店は福岡市の外で、福岡市に支店を置く場合も届出は必要ですか?

必要です。福岡市の設立申告書は、市内に会社を設立したときだけでなく、市内に事務所や事業所を設置したときも、10日以内に出すよう案内されています。県税事務所への届出も必要になるため、福岡県と福岡市の窓口で確かめてください。

福岡市で会社を設立する方へ

福岡市で会社を設立するときは、福岡法務局、税務署、県税事務所、福岡市の4か所と社会保険の窓口に、それぞれ期限のある届出を出します。まずは本店を置く区で届出先を確かめ、特定創業支援等事業を使うかどうかを決めてから、設立の日と届出の日程を組んでみてください。

「福岡市で会社を作る予定で、届出の日程と最初の1年の数字を一緒に考えてほしい」「個人事業から法人成りするので、何をいつまでに出せばよいか整理したい」という方は、設立の予定日と本店の所在地、1年目の売上の見込みをもとにお話を伺います。福岡市南区大橋を拠点に、福岡市と近郊に対応しており、オンラインでの面談も可能です。


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