顧問税理士はいらない?必要かどうかを分ける6つの問いと3つの選択肢

顧問税理士がいらないかどうかは、会社の規模や売上ではなく、毎月の数字を誰が、いつ確認しているかで決まります。記帳と試算表の確認を自社で回せていて、数字を使った大きな判断の予定もなければ、顧問契約なしでも成り立つ場合があります。反対に、決算が終わるまで利益も納税額も分からない状態なら、顧問料を削っても、その分の負担や見落としは経営者に戻ってきます。

この記事では、顧問税理士がいらない状態かどうかを確かめる6つの問いと、顧問契約以外の選択肢、契約をやめる前に整理しておくことを解説します。

税理士への依頼は義務ではない

最初に前提を確認しておくと、法人でも個人事業主でも、税理士に依頼することは義務ではありません。申告は会社や本人が自分で行うこともできます。

そのため、「いる・いらない」は法律の問題ではなく、経営の手間と判断をどこまで自社で持つか、という選び方の問題です。顧問料という目に見える費用と、自分で抱える作業や判断という見えにくい負担を、比べて決めることになります。

顧問税理士がいらない状態か、6つの問いで確かめる

次の6つの問いに、今の会社の状態で答えてみてください。

番号問い
1毎月の記帳を、翌月のうちに自社で終えられている
2試算表を毎月見て、現預金が増えた理由・減った理由を説明できる
3決算の数か月前に、その年の利益と納税額の見通しを自分で立てられる
4融資、設備投資、人の採用など、数字をもとに決める予定が当面ない
5税金の疑問が出たとき、自分で調べて確かめる時間を取れる
6取引先の増加、事業の追加など、事業の形が変わる予定が当面ない

6つすべてに「はい」と答えられるなら、顧問税理士がいなくても回せる可能性があります。決算と申告の時期だけ外部の力を借りる形も、十分に考えられます。

1〜3に「いいえ」がある場合は、注意が必要です。この3つは、顧問税理士がいる会社では、毎月の作業の中で自然に確かめられていることです。顧問契約をやめると、確かめる人がいなくなり、決算のときにまとめて問題が見つかりやすくなります。

4と6に「いいえ」がある場合は、近いうちに数字を使った判断が必要になる会社です。融資の相談や採用の判断では、最新の試算表と、その数字を説明できることが求められます。契約を見直すとしても、時期をずらす方が無理がありません。

顧問契約以外の選択肢と、それぞれで失うもの

「顧問税理士がいらない」と考えるときの選択肢は、大きく3つです。

項目自分で行う決算と申告だけ依頼する顧問契約
毎月の記帳自社自社自社または税理士(契約による)
試算表を確認する頻度自社で決める自社で決める毎月など、決まった頻度
利益と納税額が分かる時期自分で見通しを立てない限り、決算後決算の作業が始まってから期中から見通しを立てられる
期中の相談自分で調べる原則として決算時のみ随時
向いている会社取引が少なく、経理に慣れている記帳は自社で回せていて、期中の相談はあまり要らない数字を毎月の判断に使いたい、事業を伸ばしたい

自分で行う場合に失うのは、確認してくれる人です。会計ソフトやAIで記帳はかなり楽になりましたが、入力された数字が正しいか、その処理でよいかを判断する作業は残ります。

決算と申告だけを依頼する場合に失うのは、期中の時間です。税理士が数字を見るのが決算の時期だけになるため、利益が想定より多かった、資金繰りが苦しくなっていた、といったことに気づくのが遅れます。決算の直前に分かっても、打てる手は限られます。

どちらの選択肢も、費用は下がりやすい一方で、毎月の数字を確かめる役目は経営者自身が持つことになります。ここを引き受けられるかどうかが、判断の分かれ目です。

「いらない」と感じる理由別の考え方

顧問税理士がいらないと感じる理由によって、取るべき行動は変わります。

顧問料に見合う仕事をしてもらえていない

連絡が来るのは決算の前だけ、相談しても返事が遅い、といった不満から「いらない」と感じている場合は、税理士そのものが不要なのではなく、今の契約の中身が会社に合っていない可能性があります。

まずは、何をしてほしいのかを書き出し、今の税理士に伝えてみてください。それでも変わらない場合は、契約をやめるか、税理士を変えるかを考える段階です。税理士からの提案や情報提供が少ないと感じるときの考え方は、税理士から連絡が来るのは決算前だけ?提案や情報提供が少ないと感じたらで解説しています。

会計ソフトやAIで、自分でもできそうだ

記帳の作業だけなら、会計ソフトの自動取込やAIで、自社でもかなりの部分を回せるようになりました。ただし、顧問税理士の仕事は記帳の代わりだけではありません。

試算表の数字がおかしくないかを確かめる、決算の前に利益と納税額の見通しを立てる、判断に迷う処理を確認する、といった部分は、ソフトを入れても経営者の側に残ります。6つの問いの1〜3を自分で引き受けられるかどうかで判断してください。

事業が小さく、相談することがない

売上も取引も少なく、事業の形も当面変わらないなら、顧問契約なしで回せる可能性は高くなります。その場合も、事業が伸びて取引が増えた時点、人を雇う時点、融資を考える時点などで、改めて見直すことをおすすめします。

顧問契約をやめる前に整理しておくこと

顧問契約をやめると決めた場合も、すぐに解約せず、次の点を整理しておくと、後から困りにくくなります。

  • 今の税理士が行っている作業を、すべて書き出す(記帳、決算、申告、給与や年末の手続き、税務署への届出など)
  • 書き出した作業を、自社で行うもの、別に依頼するものに分け、担当者を決める
  • 会計データ、過去の申告書、届出の控えを、手元で確認できる状態にしておく
  • 最初の決算をどう乗り切るか(自分で行うのか、決算だけ依頼するのか)を決めておく

特に見落としやすいのは、毎月や毎年、税理士が当たり前に行っていた手続きです。契約書の業務範囲だけでなく、実際に頼んでいたことを、税理士に確認しながら洗い出すと漏れを防げます。

当事務所の場合

奈須大貴公認会計士・税理士事務所では、公認会計士・税理士の奈須大貴が直接対応します。顧問契約では、月次決算を通じて毎月の試算表を作り、売上や利益が計画どおりか、現預金や資金繰りに問題がないかを、経営者と一緒に確認します。

年間の利益と納税額は、第2四半期頃から見通しを立て、第3四半期で精度を高めながら決算に備えます。6つの問いの1〜3を、経営者だけで抱えずに済む形をつくることが、当事務所の顧問契約の中心です。

一方で、「決算と申告だけを、できるだけ安く依頼したい」という場合には、当事務所は合わない可能性があります。数字を毎月の判断に使いたい会社にとって顧問税理士がどう役立つかは、税理士には2種類ある!会社を伸ばす税理士と作業型税理士の違いとは?でも紹介しています。

よくあるご質問

顧問税理士なしで、決算と申告だけを頼むことはできますか?

決算と申告だけの依頼を受けている税理士事務所もあります。その場合も、決算までの記帳を自社で正しく終えておくことが前提になるのが一般的です。依頼する前に、どこまでを自社で準備すればよいかを確認しておくと安心です。

今の税理士との契約をやめると、気まずくなりませんか?

契約の見直しは、会社の状況に合わせて行うものです。理由と時期を整理し、必要な資料の引き継ぎをお願いすれば、円滑に進めやすくなります。税理士を変える場合の進め方は、税理士変更のページで解説しています。

顧問契約の中身を見直したい方へ

顧問税理士がいるかいらないかは、毎月の数字を確かめる役目を、誰が持つかで決まります。その役目を自社で引き受けられるなら、顧問契約なしという選択もあります。引き受けるのが難しい、または数字をもっと経営の判断に使いたいなら、顧問契約の中身を変えることを考えてみてください。

「顧問料を払っているのに、毎月の数字が見えていない」「契約をやめるべきか、税理士を変えるべきか迷っている」という方は、現在の状況をお聞かせください。今の税理士に伝える前の段階でも相談でき、相談しただけで今の顧問契約を終える必要はありません。福岡市南区大橋を拠点に、福岡市全域に対応しており、オンラインでのご相談も可能です。顧問契約での支援内容は、税務顧問サービスのページでご案内しています。


投稿日

カテゴリー:

,

投稿者:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

2026年10月
月 火 水 木 金 土 日
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031