【税務Q&A】法人税法上の著作権の取扱いと登録手数料の処理について

【質問】 当社は個人から文芸作品の著作権を購入しました。その後、登録(著作権の譲渡の登録)のための手数料数万円を支出しました。
 知人である社長から「デザイン(意匠権)を新規に登録する際の手数料は取得価額に含めていた。」と聞きました。今回購入した著作権の法人税法上の取扱いとその登録手数料も意匠権の場合と同様に、当該著作権の取得価額に含める必要がありますか。

【回答】
1 著作権について
(1)著作権法上の取扱い
   著作権法第17条(著作者の権利)第一項では、「著作者は、次条第1項、第19条第1項及び第20条第1項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第21条から第28条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。」と規定されています。また、第17条第2項では「著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。」と規定されています。
   つまり、著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し、登録によって権利が発生する特許権などと異なり、著作権の取得のために何ら手続きを要しないこととなっています。
(2)著作権登録制度について
   著作権の譲渡の効果は、当事者間の意思表示によって発生しますが、前の著作権者が著作権を二重に譲渡した場合には、現在の著作権者は誰かという問題が生じます。そのため、著作権法では登録制度を設けて(著作権法第77条)、契約の前後に関わらず、登録することによって第三者に著作権者として権利を主張することができるとされています。
   また、文化庁HPの著作権登録制度についての説明において、次のように記載されています。
   「著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し、その取得のために何ら手続を必要としません。ここが、登録することによって権利の発生する特許権や実用新案権などの産業財産権と異なる点です。著作権法上の登録制度は、権利取得のためのものではありません。
    では、なぜ登録制度があるのでしょうか。
    それは、著作権関係の法律事実を公示するとか、あるいは著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなどのためです。」

2 法人税法上の取扱い
(1)著作権について
   法人税法では、固定資産の範囲を棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち、次のものと定めています(法法2二十二、法令12)。
    一 土地(土地の上に存する権利を含む。)
    二 次条各号に掲げる資産
    三 電話加入権
    四 前3号に掲げる資産に準ずるもの
   このうち、「二」の次条各号に掲げる資産(減価償却資産)の範囲は、法人税法施行令第13条に限定列挙されており、同条8号では、「次に掲げる無形固定資産」として「イ 鉱業権」から「ナ 電気通信施設利用権」まで21項目が挙げられていますが、この中に著作権は含まれていません。これは、著作権は著作権法により保護されており(法人その他の団体名義の著作物に係る著作権の保護期間は、公表後70年を経過するまでの間とされています(著作権法53)。)、時の経過に応じてその価値が減少するという事実が明らかでないことによるものと解され、したがって、著作権は、上記の「四 前3号に掲げる資産に準ずるもの」に該当し、税務上は(無形)固定資産(非減価償却資産)として取扱われます。
(2)資産の取得価額
   購入した減価償却資産の取得価額は、資産の購入の対価(当該資産の購入のために要した費用がある場合はその費用の額を加算した額)と、これを事業の用に供するために直接要した費用の合計額とされています(法令54〔1〕一)。
   一方、上記(1)のとおり、著作権は減価償却資産ではありませんが、減価償却資産以外の固定資産の取得価額については、別に定めるもののほか、令54条《減価償却資産の取得価額》の規定及びこれに関する取扱いの例によることとされています(法基通7-3-16の2)。
(3)固定資産の取得に関連して支出するものであっても、次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができるとされています(法基通7-3-3の2)。
   次に掲げるような租税公課等の額
    イ 不動産取得税又は自動車取得税
    ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
    ハ 新増設に係る事業所税
    ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
   これらの租税公課等は一種の事後費用であり、その性格も流通税的なものないしは第三者対抗要件を具備するためのものであって、必ずしも固定資産の取得原価そのものとは言い切れない面があるとして、取得価額に算入するかどうかは法人の判断に任せるものとされています。

3 ご質問に対する回答
  まず、法人税法上の著作権の取扱いは、上記2(1)のとおり無形固定資産(非減価償却資産)となります。
  知人社長からのお話にある意匠権に関して、意匠権も法人税法上は無形固定資産(ただし、減価償却資産。法令13八チ)となりますが、登録を受けることにより初めて権利が発生することから(意匠法20)、上記2(2)に従い、その登録費用は意匠権の取得に要した費用として、取得価額に含めていたものと思われます。
  著作権は上記1(2)にあるとおり創作した時点で自動的に発生するもので、新規取得の場合にも登録などの手続きを必要としません。したがいまして、著作権については新規登録費用やご質問の譲渡に伴う登録費用は第三者対抗要件を具備するための費用として、上記2(3)のとおり取得価額に算入しないこと(費用処理)もできるものと考えます。

【関連情報】
《法令等》法人税法2条
     法人税法施行令12条
     法人税法施行令13条
     法人税法施行令54条
     法人税基本通達7-3-3の2
     法人税基本通達7-3-16の2
     著作権法17条
     著作権法53条
     著作権法77条
     意匠法20条

【掲載日】令和 8年 2月10日

上記掲載内容は、作成時の法令を基に作成しております。このため、個々の掲載内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
出典:TKC税務研究所


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