【質問】
私は、本年12月1日に診療所(内科)を開設しましたが、開業準備に約2か月ほど要しました。
この開業準備期間中に出費した費用は、開業費として処理することとしていますが、この開業準備期間中に妻に対して支払った青色事業専従者給与について、他の経費と同様に開業費として必要経費に算入することはできますか。
なお、税務署への開業届等は実際の開業と合わせて12月1日とし、また、青色事業専従者給与も月30万円、その支給日を他の従業員と同様に毎月25日と定めて届出を行っています。
【回答】
開業準備期間中に支払った青色事業専従者給与の額は、あなたの事業所得の金額の計算上必要経費の額に算入することはできません。
【関連情報】
《法令等》
- 所得税法2条1項20号
- 所得税法45条
- 所得税法56条
- 所得税法57条1項
- 所得税法57条2項
- 所得税法229条
- 所得税法230条
- 所得税法施行令7条1項1号
- 所得税法施行令96条
- 所得税法施行規則36条の4
【解説】
青色事業専従者給与は、居住者の営む事業に専ら従事する者が、あらかじめ届けられた給与の額の範囲内において当該事業から給与の支払を受けた場合に、一定の状況に照らして労務の対価として相当であるものについて必要経費算入を認めるとするものです(所法57条1項)。
この点において、開業準備期間中は、まだ事業が開始されていない状況下にあるものですので、妻が、同期間中に青色事業専従者給与として支払を受けたとしましても、それは上記「当該事業から給与の支払を受けた場合」には該当しないものと考えます。
したがって、仮に、妻に支払われた額が、労務の対価として相当な額であったとしましても、当該金額は生計を一にする妻への対価の支払として必要経費算入ができないものですので(所法56条)、開業準備のために特別に支出する費用(開業費:所令7条1項1号)として計上することもできず、家事費若しくは家事関連費(所法45条、所令96条)として処理することになるものと考えます。
【収録日】
平成22年11月22日
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出典:TKC税務研究所
