【質問】
甲社は、いわゆる優良な電子帳簿の機能要件を満たす会計ソフトを使用しており、過少申告加算税の軽減措置の適用を受けるために、「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書(以下、「本件届出書」といいます。)」を令和6年9月に提出しています。甲社は、上記の会計ソフトの入力などに使用しているパソコンが古くなったことから買い換えを予定していますが、本件届出書に関する変更届出書の提出が必要でしょうか。
【回答】
1 法令等について
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置については、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(以下、「電帳法」といいます。)8条4項に規定されており、財務省令で定める国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存が、財務省令で定める要件を満たしている場合は、当該電磁的記録に係る電子帳簿は「優良な電子帳簿」に該当し、過少申告加算税の軽減措置が受けられることとなります。
この財務省令で定める国税関係帳簿とは、電帳法施行規則5条1項に定める特例国税関係帳簿とされています。ただし、上記の軽減措置の適用を受けるためには、保存義務者があらかじめ、電帳法8条4項の規定の適用を受ける旨及び一定の事項を記載した届出書(本件届出書)を納税地等の所轄税務署長に提出していることが必要です(電帳法規則5条1項)。なお、上記の届出書に記載する一定の事項とは、(1)届出に係る特例国税関係帳簿の種類、(2)届出者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び法人番号、(3)届出に係る特例国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存などに代える日、(4)その他参考となるべき事項とされています(電帳法規則5条1項1号~4号)。そして、その他参考となるべき事項には、特例の適用を受けようとする国税関係帳簿の作成・保存に使用するプログラム(ソフトウェア)の概要などを記載することとされています(本件届出書様式参照)。
次に、上記の保存義務者は、電帳法規則5条1項の届出書に記載した事項の変更をしようとする場合には、あらかじめ、その旨及び届出者の氏名又は名称などを記載した届出書を所轄税務署長等に提出しなければならないこととされています(電帳法規則5条3項)。
この変更届出書に関する国税庁作成の一問一答をみると、電帳法8条4項(過少申告加算税の軽減措置)の規定の適用を受ける旨等を記載した届出書に記載した事項を変更する場合には、変更する旨等を記載した届出書の提出が必要となるとし、例えば、優良な電子帳簿の要件に係る、使用するシステムの全面的な変更のほか、訂正又は削除の履歴の確保、帳簿間での相互関連性の確保及び検索機能の確保に係るシステムの大幅な変更(使用していた市販の会計ソフトの変更を含みますが、いわゆる同一ソフトのヴァージョンアップは含みません。)を行った場合が該当するとされています(国税庁作成、電子帳簿保存法一問一答、【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】、令和6年6月、問51)。
2 ご質問について
甲社は、「優良な電子帳簿」に該当するとして本件届出書を提出しているとのことです。甲社の提出した本件届出書には、その他参考となるべき事項として、特例の適用を受けようとする国税関係帳簿の作成・保存に使用するプログラム(ソフトウェア)の概要を記載しているものの、使用しているパソコンについては記載していないものと考えられます。そして、甲社は、新しいパソコンに買い換える予定とのことですが、この場合において、プログラム(ソフトウェア)の変更がなく、当初の届出書にパソコンについて記載をされていないのであれば、電帳法規則5条3項に定める「届出書に記載した事項の変更をしようとする場合」には該当しないこととなり、変更の届出書を提出する必要はないものと考えられます。
【関連情報】
《参照法令等》
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律8条
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則5条
【掲載日】
令和 7年11月10日
上記掲載内容は、作成時の法令を基に作成しております。このため、個々の掲載内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。
出典:TKC税務研究所
