資金繰り表は必要?業績が良い会社ほど作っておきたい理由と、作らないと起きること

資金繰り表は、業績が悪い会社だけが作るものではありません。売上が伸びているときほど、仕入や人件費の支払いが入金より先に増え、手元のお金が減ることがあるためです。業績が良い会社にも、悪い会社にも、この先お金が足りるかを確かめる表として資金繰り表は必要です。

この記事では、公認会計士・税理士の奈須大貴が、資金繰り表が必要になる場面を仮の数字で解説し、作らない会社で起きやすいことと、最初の一歩を紹介します。

資金繰り表が必要な理由は「利益」と「お金」がずれるから

試算表や決算書で分かるのは、利益が出ているかどうかです。ところが、利益と手元のお金は、次のような理由で一致しません。

  • 売上を計上しても、入金されるのは1〜2か月後になることが多い
  • 借入金の返済は費用にならないため、利益は減らないが、お金は出ていく
  • 設備を買ったときは、費用は何年かに分けて計上されるが、お金は買ったときに出ていく
  • 法人税や消費税、賞与は、決まった月にまとめて出ていく

試算表だけを見ていると、こうしたずれは見えません。資金繰り表は、お金が実際に入る月と出る月で数字を並べるため、このずれを先回りして確かめられます。

業績が良い会社に資金繰り表が必要な理由

売上が伸びると、先に支払いが増える

売上が伸びているときは、お金も増えていると考えがちです。ところが、入金より支払いが先に来る会社では、売上が伸びた直後にお金が減ります。

仮の数字で見てみます。ある会社の売上が、ある月から毎月300万円増えたとします。売上の70%にあたる仕入は翌月に支払い、売上代金は翌々月に入金されます。

売上が増えてから増えた入金増えた支払いお金の増減
1か月目0万円0万円0万円
2か月目0万円210万円−210万円
3か月目300万円210万円+90万円

2か月目には、増えた仕入の210万円を、入金を待たずに手元のお金で立て替えることになります。売上の伸びが大きいほど、立て替える額も大きくなります。受注が好調なときに資金繰り表で先を見ておけば、立て替えに必要なお金を、前もって準備できます。

好調な年ほど、納税と賞与の額が大きくなる

利益が多く出た年は、決算の後に納める法人税や消費税の額も大きくなります。賞与を増やす場合は、その分も出ていきます。納税と賞与の月が近い会社では、好調な年ほど、その時期にまとまったお金が必要になります。

融資は、お金に余裕があるうちに相談しやすい

設備投資や採用のために融資を考えるときも、資金繰り表があれば、いつ、いくら必要で、どの入金で返すのかを説明しやすくなります。お金が足りなくなる直前の相談より、余裕のあるうちに先の見通しを示して相談するほうが、選べる手も多くなります。

業績が厳しい会社に資金繰り表が必要な理由

業績が悪くなっているときは、手元のお金があと何か月もつのかを知ることが、最初の判断の材料になります。資金繰り表で月末の残高を先の月まで並べれば、足りなくなる月と額が分かります。

その月が分かれば、それまでに何をするかを順番に考えられます。取引先に入金を早めてもらえないか、支払いの時期を相談できないか、返済の条件を金融機関に相談するか、融資を申し込むか。どの手も、時間がたつほど選びにくくなるため、早めに気づくことに意味があります。

資金繰り表を作らない会社で起きやすいこと

資金繰り表がないと、お金の不安には、通帳の残高を見て気づくことになります。そのときには、次のようなことが起きやすくなります。

  • 納税や賞与の月に、予定外にお金が足りなくなり、急いで融資を申し込む
  • 金融機関に、いつまでにいくら必要かを数字で説明できず、相談に時間がかかる
  • 売上が伸びているのにお金が減っている理由が分からず、採用や設備投資の判断に迷う

利益が出ていても、支払いに必要なお金が足りなくなれば、事業は続けられません。利益が出ているのに資金が尽きることを「黒字倒産」といいます。仕組みと予兆は、黒字倒産とは?利益が出ているのにお金が足りなくなる理由と、試算表に出る予兆で解説しています。

最初は「3か月先まで足りるか」だけでよい

最初から細かい資金繰り表を作る必要はありません。まずは、次の3つを月ごとに並べるだけで、3か月先までお金が足りるかを確かめられます。

  • 今月・来月・再来月の入金の予定
  • 同じ3か月の支払いの予定(給与、仕入、家賃、返済、税金など)
  • 月末の残高

通帳から過去の実績を写して、予定を入れていく具体的な手順は、資金繰り表の作り方|通帳から作る5つの手順と、3か月先の資金不足を見つける読み方で、仮の数字の表を使って解説しています。

当事務所の場合

奈須大貴公認会計士・税理士事務所では、公認会計士・税理士の奈須大貴が直接対応します。月次決算で毎月の試算表を作り、資金繰り表とあわせて、利益とお金の両方が計画どおりかを経営者と一緒に確かめます。

年間の利益と納税額は、第2四半期頃から見通しを立て、第3四半期で精度を高めながら決算に備えます。納税や賞与の月にお金が足りるかも、その見通しの中で確かめます。顧問契約での支援内容は、税務顧問サービスのページでご案内しています。

資金繰りを数字で確かめたい方へ

資金繰り表は、困ったときに作るものではなく、先の判断を早くするための表です。業績が良いときは成長に必要なお金の準備に、厳しいときは打つ手の順番を決めるのに役立ちます。

「売上は伸びているのに、お金が増えている実感がない」「納税や賞与の月が近づくと不安になる」という方は、直近の試算表と通帳をもとに、3か月先までお金が足りるかを一緒に確かめます。福岡市南区大橋を拠点に、福岡市全域に対応しており、オンラインでのご相談も可能です。

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