こんにちは。奈須大貴です。
以前ご紹介した新規上場ガイドブックについての投稿です。
新規上場ガイドブックのグロース市場編では、事前チェックリストが用意されています。
これからIPOを目指す会社様にとっては、IPOに向けた最終段階である取引所による上場審査の概要をつかむことができるため、ぜひ確認しておきたい内容です。
今回は、「企業情報の開示」について、ご紹介します。
数が多いため、今回と次回の2回に分けてご紹介します。
(ここからは、新規上場ガイドブック グロース市場事前チェックリストの抜粋となります)
こちらから直接確認することもできます。
3. 企業内容の適時・適切な開示に向けた準備は進んでいますか?
(1)社内体制について
東証では規程第401条において「上場会社は、投資者への適時、適切な会社情報の開示が健
全な金融商品市場の根幹をなすものであることを十分に認識し、常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を徹底するなど、誠実な業務遂行に努めなければならない」と定めています。投資者への適時・適切な情報開示は、上場後も継続的に求められますので、そのための体制整備が必要となります。つまり、会社としての情報開示面の対応が、特定の者によるところが大きいような場合においては、万が一の場合に情報開示に支障をきたす結果となりかねませんので、組織的な対応が求められます。
①法定開示・適時開示・IR活動を適時・適切に、かつ、継続的に行うことができるような社内体制となっていますか。 |
②親会社等と常に連絡が取れる体制を整えていますか。 |
③会社情報に関する適時開示資料等を自社のウェブサイト等に掲載する場合、公表予定時刻より前に外部者が閲覧することができないようにするためのシステム上のセキュリティ対策や掲載手順が適切に整備されていますか。 |
④フェア・ディスクロージャー・ルールを踏まえた社内体制は整備されていますか。 |
(2)開示書類について
東証では投資情報につながる開示書類として「Ⅰの部」及び「事業計画及び成長可能性に関
する事項」を審査対象としています。したがって、定められた内容を網羅して記載していただくことはもちろん、その他投資判断を行う上で必要と考えられる情報を積極的に、かつ、一般投資者にも分かり易く記載していただくことが必要です。また、上場後の継続開示にも関係しますので、事前の十分な準備が求められます。
①「Ⅰの部」を法令に準じて作成できるように準備を進めていますか。 |
②「Ⅰの部」に、事業内容、財政状態・経営成績・資金収支の状況に係る分析及び説明、関係会社の状況、研究開発活動の状況、大株主の状況、役員・従業員の状況、配当政策など、投資判断上有用な事項を、一般投資者にも分かりやすく記載するように準備を進めていますか。 |
③「Ⅰの部」に、投資判断上のリスクとしての性格を有する情報、具体的には、事業年数の短さ、累積欠損又は事業損失の発生の状況、特定の役員への経営の依存、他社との事業の競合状況、市場や技術の不確実性、特定の者からの事業運営上の支援の状況、主要な事業の前提に関する事項、その他投資判断に際してリスク要因として考慮されるべき事項を網羅し、かつ、一般投資者にも分かりやすく記載するように準備を進めていますか。 |
④資本下位会社への出資比率の不当な調整などにより、企業グループの実態の開示を歪めていませんか。 |
⑤「事業計画及び成長可能性に関する事項」の作成にあたり、「作成上の留意事項」の「記載内容」に掲げる事項について、グラフや図表等を用いることを含めて、分かりやすく記載するように準備を進めていますか。 |
(3)業績等の開示について
グロース市場へ上場することとなった場合には、通期業績及び四半期業績の開示と、業績見通しの公表を継続的に行っていただくこととなりますが、これらの業績等の開示には、投資情報としての有用性の観点から、速報性と正確性が求められます。また、業績見通しの公表に関しては、その後の事業の進捗状況に応じて、場合によっては業績見通しなどの将来予測情報の修正を行っていただく必要が生じますが、この修正を適時・適切に行うためには、月次での予算実績管理などが必要となります。
①決算短信を年度末から遅くとも45日以内に開示できるように準備を進めていますか。 |
②適切な業績見通しなどの将来予測情報の公表及び適時・適切な将来予測情報の修正を行うことができるように準備を進めていますか。 |
今回は、新規上場ガイドブック グロース市場事前チェックリストより「企業情報の開示」の前半部分についてご紹介しました。
次回は、「企業情報の開示」の後半部分についてご紹介します。