こんにちは。奈須大貴です。
以前ご紹介した新規上場ガイドブックについての投稿です。
新規上場ガイドブックのグロース市場編では、事前チェックリストが用意されています。
これからIPOを目指す会社様にとっては、IPOに向けた最終段階である取引所による上場審査の概要をつかむことができるため、ぜひ確認しておきたい内容です。
前回は、「事業計画の合理性」を紹介しました(前回の投稿はこちら)が、
今回は、「経営管理組織」を紹介していきます。
数が多いため、今回と次回の2回に分けてご紹介します。
(ここからは、新規上場ガイドブック グロース市場事前チェックリストの抜粋となります)
こちらから直接確認することもできます。
2.経営管理組織は有効に機能していますか?
(1)取締役会について
業務執行の最高意思決定機関である取締役会において、十分な議論・検討がなされず、取締役会が形骸化しているような場合は、取締役会に求められる取締役の業務執行に対する監督機能が働かず、会社としての意思決定が特定の者により実質的に決定されてしまうこととなり、ひいては特定の者の利益を優先し、株主の利益が侵害される危険性が生じるものと考えられます。したがって、取締役会においては、議案に係る検討資料や月次業績資料などに基づいた十分な議論・検討と、その過程を経た組織的な意思決定・監督が求められます。
①取締役会を定期的に開催していますか。また、必要に応じて機動的に開催し、迅速な意思決定を行うことができますか。 |
②取締役会における議案に関しては、十分な議論・検討がなされたうえで決定されていますか。また、そのための十分な経営管理資料などの検討資料が用意され、かつ、取締役会議事録が適法に整備されていますか。 |
③業務運営上の重要な報告が適切に行われていますか。 |
④取締役会の業務執行役員に対する監督が有効に機能していますか。 |
⑤特定の者の利益を優先するような決議が行われていませんか。 |
⑥取締役の他社との兼任関係などが、会社の意思決定や業務遂行を阻害するものとなっていませんか。 |
⑦取締役会の決議方法がコーポレート・ガバナンスの観点から適当な決議方法となっていますか。 |
(2)監査役について
監査役には、取締役、会計参与及び取締役会に対する監査機能が求められますが、この機能
を全うするためには、日々の業務監査などに加えて、取締役会への出席も必要となります。
①監査役による取締役及び会計参与の業務執行に対する牽制は有効に機能していますか。 |
②担当監査法人や内部監査と連携して、適切に監査を実施していますか。 |
③監査役が取締役会に出席していますか。 |
(3)独立役員について
東証では、一般株主保護の観点から、上場会社に対して、独立役員(一般株主と利益相反が
生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役をいいます。)を1名以上確保するよう求め、これを企業行動規範の「遵守すべき事項」として規定しております。そのため、これから上場申請を行う会社につきましても、上場日までに独立役員を確保し、東証に独立役員の確保状況を記載した「独立役員届出書」を提出していただく必要があります。
①独立役員として届出を行う予定の社外取締役又は社外監査役が1名以上確保されてい ますか。 |
②独立役員として届出を行う予定の社外取締役又は社外監査役は、一般株主と利益相反が生じるおそれがない者ですか。上場管理等に関するガイドラインⅢ 5.(3)の2に 掲げる事由等に該当していませんか。 |
(4)会計参与について
会計参与には、取締役や執行役と共同して計算書類を作成する役割などがありますが、会計
参与設置会社である場合、上場審査では会計参与に過度に依存せず、法定開示・適時開示を適時・適切に、かつ、継続的に行うための組織的な社内体制が求められます。
①会計参与設置会社である場合、法定開示・適時開示に係る社内体制が会計参与に過度 に依存した体制となっていませんか。 |
今回は、新規上場ガイドブック グロース市場事前チェックリストより「経営管理組織」の前半部分についてご紹介しました。
次回は、「経営管理組織」の後半部分についてご紹介します。