【質問】
賃上げ促進税制の国内雇用者については、法人の使用人のうちその法人の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者を指すとされます。
当社には、日雇い労働者がいますが、なにぶん人の入れ替わりが多く管理も容易ではありません。
この日雇い労働者については、各人に交付するために給与明細は作成しているものの、賃金台帳は作成していません。
この場合、日雇い労働者の給与分は、雇用者給与等支給額には含まれないことになりますか。
【回答】
賃上げ促進税制の「国内雇用者」とは、「法人の使用人(その法人の役員と特殊の関係のある者等の一定の者を除きます。)のうち当該法人の有する国内の事業所に勤務する雇用者として政令で定めるものに該当するもの」をいい、政令では、「その法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法第108条に規定する賃金台帳に記載された者とする。」と規定されています(措置法42の12の5⑤二、措令27の12の5⑥)。
ところで、労働基準法第108条(賃金台帳)では、「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。」と規定されており、労働基準法上、この賃金台帳には、パート、アルバイト、日雇労働者などの「日々雇い入れられる者」も記載することとされています(労働基準法施行規則54、55、様式第21号)。
賃上げ促進税制においては、上記労働基準法108条の規定において、「パート、アルバイト、日雇労働者などの日々雇い入れられる者」についても、「正社員」と同様に、当然に賃金台帳に記載すべきこととされていることを前提に、制度が設計されているものと考えられます。
その意味で、本来は、「日雇い労働者」も賃金台帳に記載の上、「国内雇用者」に該当するものとして、その給与を雇用者給与等支給額に含めて計算することが制度上は予定されているものと考えます。
ご質問の「日雇い労働者」については、労働基準法上は、本来は「賃金台帳」に記載すべき者に該当する可能性が高いともいえますが、かかる労働基準法の問題はさておき、賃上げ促進税制の適用上は、措置法施行令に「その法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法第108条に規定する賃金台帳に記載された者とする。」と規定されているとおり、文理に忠実に、賃金台帳に記載されているかどうかで、その給与分が雇用者給与等支給額に含まれるかどうかを判断することになると考えます。
したがってご質問にある賃金台帳を作成していない日雇い労働者に係る給与分は、雇用者給与等支給額には含まれないことになると考えます。
【関連情報】
《参照法令等》租税特別措置法42条の12の5第5項2項
租税特別措置法令27条の12の5第6項
労働基準法108条
労働基準法施行規則54条
労働基準法施行規則55条
労働基準法施行規則様式第21号
【掲載日】令和 7年11月10日
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出典:TKC税務研究所
