【質問】
令和9年1月1日以後に税務署に提出する国税の法定調書等については、その法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきであったその法定調書等の枚数が「30枚以上」であった場合に、e-Taxや光ディスク等による提出が義務付けられていますが、地方税の給与支払報告書の提出については、国税のこの基準と同様と考え、給与所得の源泉徴収票の提出枚数を基準に考えてよろしいでしょうか。
【回答】
1 給与所得の源泉徴収票の提出について
「給与所得の源泉徴収票」は、給与等を支払った全ての方について作成し交付することとされていますが、税務署に提出するものは、次のものに限られています(所法226〔1〕)。
〇年末調整をしたもの
(1)法人の役員(現に役員をしていなくても、その年中に役員であった者を含みます。)については、その年中の給与等の支払金額が150万円を超えるもの。なお役員には、相談役、顧問その他これらに類する方が含まれます(所規93〔2〕二)。
(2)弁護士、司法書士、税理士等については、その年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの(所規93〔2〕三)
(3)上記(1)及び(2)以外の者については、その年中の給与等の支払金額が500万円を超えるもの(所規93〔2〕一)
なお、上記(2)の弁護士等に対する支払は、給与等として支払っている場合の提出範囲ですので、報酬として支払う場合には、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出することとなります。
〇年末調整をしなかったもの
(1)「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した方で、その年中に退職した方や、災害により被害を受けたため給与所得に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収の猶予を受けた方については、その年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの
ただし、法人の役員については、50万円を超えるもの
(2)「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した方で、その年中の主たる給与等の金額が2,000万円を超えるため、年末調整をしなかったもの
(3)「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった方(給与所得の源泉徴収税額表の月額表または日額表の乙欄又は丙欄の適用者)については、その年中の給与等の支払金額が50万円を超えるもの(所規93〔2〕四)
そして、法定調書等の提出については、その調書等の提出期限の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの間に提出すべきであったその調書等の枚数(各調書の提出の際に使用する別表の表ごとに計算した数)が100枚以上(令和9年1月1日以後は30枚以上)であるものについては、その調書等を提出すべき者は、その調書等に記載すべきものとされる事項(「記載事項」といいます。)をe-Tax又は光ディスク等で提出しなくてはならないこととされています(所法228の4〔1〕、所規97の4)。
2 市区町村への「給与支払報告書」の提出
市区町村へ提出する「給与支払報告書」は、税務署への「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と異なり、その年の翌年の1月1日現在において給与等の支給を受けている全ての受給者の給与支払報告書を、受給者のその年の翌年の1月1日現在の住所地の市区町村長に対して、その年の翌年の1月31日までに提出しなければならないこととされています(地法317の6〔1〕)。
そして、給与支払報告書をeLTAX又は光ディスク等によって提出しなくてはならない者については、「所得税法第二百二十六条第一項に規定する源泉徴収票について同法第二百二十八条の四第一項の規定の適用を受けるもの」(地法317の6〔5〕)とされています。
つまり、給与支払報告書の提出については、所得税の給与等の源泉徴収票のような金額基準によって提出を要さないという基準はありませんので、源泉徴収を要する給与を支給した者の全ての者について作成し、提出をする必要がありますが、eLTAX又は光ディスク等による提出をしなくてはならないかという基準については、源泉徴収票についてe-Tax又は光ディスク等による提出義務があるか否かによって判定することとされています。
【関連情報】
《法令等》
- 地方税法317条の6
- 所得税法183条
- 所得税法226条
- 所得税法228条の4
- 所得税法施行規則93条2項
【収録日】
令和 7年 8月14日
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出典:TKC税務研究所
