【税務Q&A】前年に確定申告をしなかった場合の翌年分の65万円の青色申告特別控除

【質問】

 Aは、一昨年までは事業的規模の不動産貸付けによる所得があり、65万円の青色申告特別控除を適用していましたが、昨年、貸し付けていたマンションを取り壊して新しいマンションを建設していましたので、申告すべき所得がなかったため、確定申告をしませんでした。
 本年、事業的規模となる貸マンションが完成しますので、再度不動産収入が生じることから、65万円の青色申告特別控除の適用を受けることは可能ですか。

【回答】

 Aが65万円の青色申告特別控除の要件をすべて満たす場合には、本年分の不動産所得の金額において、同控除の適用を受けることができます。

【関連情報】

《法令等》

  • 所得税法151条2項
  • 租税特別措置法25条の2第4項

【解説】

 65万円の青色申告特別控除は、次の1から4をすべて満たしている場合に適用することができます(措法25の2〔4〕)。
  1.不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者であること
  2.1の所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること
  3.2の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること
  4.その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること、又はその年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Taxを使用して行うことのいずれかに該当していること
 ところで、青色申告者が不動産所得等の業務の全部を譲渡し又は廃止した場合には、その譲渡し又は廃止した日の属する年の翌年分以後の各年分の所得税については、青色申告の承認の効力を失うこととされています(所法151〔2〕)が、Aのように、貸マンションを取り壊して新たに貸マンションを建設している場合には、その取壊しから取得までの期間、不動産賃貸業を継続していることから、引き続き青色申告を適用していることになります。
 そうしますと、65万円の青色申告特別控除の要件には、連年青色申告書を提出していることがありませんので、Aは本年において、上記1から4の要件をすべて満たす場合には、何ら届け出等の手続をすることなく、65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。

【収録日】

令和 7年 9月22日
上記掲載内容は、作成時の法令を基に作成しております。このため、個々の掲載内容が最新の法令等に基づいているかは、利用者ご自身がご確認ください。

出典:TKC税務研究所


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