《速報解説》「令和8年度税制改正大綱」 中小企業等の経営に関連する主な改正内容(1)

皆さん、こんにちは。
福岡市を中心に活動しています若手公認会計士・税理士の奈須大貴です。

先日、「令和8年度税制改正大綱」が公表されました。
そこで、今回は中小企業等の注目ポイントを簡単に解説させていただきます。
※次回も、令和8年度税制改正大綱についての解説記事を公開予定です。

中小企業等の経営に関連する主な改正内容

1.インボイス制度にかかる経過措置の見直し

インボイス(適格請求書)制度で設けられている2つの経過措置が見直されました。

(1)「2割特例」が「3割特例」となり、適用対象期間も2年「延長」へ!
インボイス制度により、これまで消費税を納めていなかった免税事業者が、インボイス発行事業者登録を行い課税事業者となった場合、消費税の納税が必要となります。この事務負担増を和らげるため、当初は納める消費税額について、売上にかかる消費税額の2割に抑える「2割特例」が設けられていました。これは令和5年10月1日から令和8年9月30日までの期間に限って適用される措置です。

大綱では「2割特例」が終了した後の取り扱いが示されました。具体的には、免税事業者からインボイス登録をした個人事業者は、令和9年分および令和10年分の2年間に限り、納める消費税額について、売上にかかる消費税額の3割に抑える「3割特例」が適用されることとなります。

(2)「80%控除」が「70%控除」へ 経過措置期間も2年延長!

これまで免税事業者等からの課税仕入れであっても仕入税額相当額の一定割合を仕入れ税額とみなして控除できる特例が設けられていました(下記参照)。

■現行

       期間                                    税額控除割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日          80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日           50%
令和11年10月1日以降                                          0%

今回の税制改正では、この取り扱いが下記のように見直されます。

■改正後

       期間                                      税額控除割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日                  80%
令和8年10月1日から令和10年9月30日                70%
令和10年10月1日から令和12年9月30日              50%
令和12年10月1日から令和13年9月30日              30%

なお、免税事業者等からの課税仕入れ額が年間1億円を超える部分については、これらの経過措置は適用されません。

2.「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設

国内投資を拡大し、日本企業の「稼ぐ力」を高めることで、賃上げを含む好循環を生み出すため、「特定生産性向上設備等投資促進税制」が創設されました。

この制度では、すべての業種を対象に、一定の規模と収益性を満たす投資について、投資額の一部を法人税額から控除できます。また、アメリカの関税政策の影響を受けた企業は、必要に応じて最大3年間の繰り越しも可能です。税額控除を選ばない場合は、設備投資費用の全額を初年度に償却できる「即時償却」も選択できます。

対象となるのは機械装置やソフトウェア等で、控除率は、法人税額の20%を上限に、原則7%、建物は4%が控除可能です。投資額の条件は、大企業で35億円以上、中小企業等で5億円以上とされており、投資利益率15%超の計画が必要です。企業は専門家の意見を踏まえた投資計画を策定し、経済産業局に提出する必要があります。

最後に

今回は、令和8年度税制改正大綱から中小企業等の経営に関連する内容を2点解説しました。中小企業・小規模事業者さんも影響などは早めに検討をしておくことをオススメします。

なお、奈須大貴公認会計士・税理士事務所では、数字を経営の武器にするためのサポートを行っています。

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奈須大貴公認会計士・税理士事務所
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